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留学生活にまつわるいろいろな出来事をそこはかとなく綴るブログ

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ずっと二人、手をつないで


「何を考えているのかしら?」

「君が何を考えているのか考えていたんだよ。」

にっこり笑っておじいさんは答えました。

「ねえ、あなたはどうしていつも私の手を握っているの?」

「そうしたいからそうしているだけだよ
そういう君はどうして僕のこの手を離さないんだい?」

「離すのが面倒だから離さないだけよ。」

笑顔のままそういったおばあさんのしわしわの顔に、おじいさんはこれまたしわしわの顔を近づけてゆっくりとキスをしました。

「それにしても私たち、ずいぶんと長い時間を一緒に過ごしてきたわね。」

「そうだね。」

と、おじいさん。

「これはほとんど奇跡ね。私何度別れようかと思ったかわからないわ。だってあなたったら本当に何も学ばない人なんだから。」

悪戯っぽく笑うおばあさんにおじいさんは

「おいおい、それは言いすぎじゃないかい?。それに僕だって、君のことなんか大嫌いだ、って思ったこと、一度や二度じゃないんだよ。」

「あら、だったらあなたはなぜ私の手を今でもこうして握っているの?」

「うーん、、、」

そう言って黙ってしまったおじいさんに、ほんの少し不安になったおばさんはそっとおじいさんの顔を覗き込みました。するとおじいさんが、

「君の手を初めて握ったとき、僕の世界が変わったんだよ。」

意味がわからなくて首をかしげるおばあさんに、おじいさんは続けて言いました。

「初めて僕たちが出会ったのは旅先だったのを覚えているかい?」

「もちろん覚えているわよ」

「確かあの時旅先で浮かれている私が、車に轢かれそうになったのをあなたが手をひいてくれて助かったんだったわ。」

「そうさ」

おじいさんはほんの少し胸を張って答えました。

「そういえばあのあとあなたは一日中私の手を離さなかったわね。車が行ってしまったあとも、そして次の日も、次の日も、今日までずーっと。」

おじいさんは少し照れたようにこう言いました。

「そうなんだ、でもそれは君の手を握ったとき、僕の世界が変わってしまったからなんだよ。」

「だからそれはどういうことなの?」

「僕はそれまでにもたくさんの旅行をして、たくさんのすばらしい景色を見てきた。だけど君に出会ったあとの景色はそれまでのものとは比べ物にならないほど美しいものに変わったんだよ。」

「それまで100色の色にしか見えなかった景色が、君と一緒だと1000色に見えた。君と手をつないでいるとその1000色の景色が輝きを増して見えるようになったんだ。」

「だから僕はそのとき、君の手を一生握っていようと決めたんだよ。」

なんだかうれしくなっちゃったおばあさん。なのにおじいさんたら、

「それに、、、」

「それに?」

「大嫌いと大好きという感情は、どうやら同居が可能らしい。」

そういってそっとウィンクをするおじいさん。

「まあ!」

「そういう君はなぜ僕の手を離さないんだい?」

「私は、、」

「私は?」

「ただ離すのが面倒だっただけよ。」

そういってプイッと横を向いてしまったおばあさんの髪の毛に小さくキスをしながらおじいさんは

「だったら面倒なことはこれからもずっと脇においておこうじゃないか。」

おばあさんはそっぽを向いたままちょっとだけ強くおじいさんの手を握り返しました。

「今まで長いことこうしてきたんだ、だからこれからも、、、」



ずっと二人、手をつないで。




キボウ

“目覚めよ、そして立ち上がれ”

声がして、僕はゆっくりと目を開けた

いつからこうしていたんだろう?どれくらいこうしていたんだろう?

“目覚めよ、そして立ち上がれ”

今度はゆっくりと立ち上がる

体についた泥がぱらぱらとこぼれ落ちた

“待っていた。見よ”

声がする方角を眺めると見たこともない景色が広がっていた

“そうだ”

僕の心を読んだかのように声は言った。

“ここはもはや砂漠でなく、ここはもはや雪原ではない”

“見よ”

導かれるように見上げると太陽が輝いていた

“光は常に平等だ。お前がかつて歩んでいたときも、お前が倒れていた

ときも、光は等しくお前に注いでいた。”

でも僕は暗闇に包まれて倒れたのです。

“闇はお前自身。暗闇はお前が作り出した幻想だ。”

“さあ、行くがいい”

行くと言っても僕は乗っていた列車から降りてしまった。もう進むこと

が出来ません。

“だがお前には足がある”

僕は自分の下半身を見ると、そこには健康な2本の足があった。

“平らに見える道は険しく、険しい道はさらに険しい”

だったら僕は怖くて進めません。

“だがお前には知恵がある”

私は世界の名前を知っていることに気がついた

“行くがいい”

声は言った。

だけど僕はどちらに向かって行ったらいいかわかりません。ここには道

がない。

“だがお前にはキボウがある”

僕は胸にかすかな熱を感じた。キボウとはなんですか?

“お前はその答えを知っている。今やそのキボウはとても小さい。

だがお前の目を覚まさせたのはそのキボウなのだ。お前にはキボウが必

要だ。そしてそれは今与えられた。

そしてキボウもお前が必要だ。今度はお前が与える番だ。”

僕は胸の中のキボウをつかもうと自分の胸に触れた。かすかに温かい。

“キボウはまず私を目覚めさせた。そして私もまたお前自身だ。私はお

前の強き心。お前の心のほんの一部だ。お前は弱い。だがお前が目覚め

た今、再び私はお前と一つになる。”

声は続けた

“キボウはお前の目を覚まし、足に力を与えた、そして私がお前の力で

あることを思い出させた。”

声がだんだんと近づいてきた

“行くがいい”

“キボウはお前に与えた。お前がキボウに与える番だ。”

声が僕の口から発せられたとき、僕は進むべき方角をすでに知っている

をこと知った。

“キボウはお前の唯一の宝。目を開け、耳を澄ませ。キボウを守るの

だ、それがお前の存在する意味なのだから。”



声は完全に僕のものになった。

僕はゆっくりと歩き出す。


皆既月食の夜

あの人の健康と幸せを

そして何時も笑顔が

ありますように


毎日毎日

祈ることは

何時も同じ

だけど今夜だけは

百万回祈ります


星の光が

僕の目を洗い

月の光が

僕の言葉を

洗うから


あの人の健康と幸せを

そして何時も笑顔が

ありますように


月が隠れる

その瞬間

祈りはきっと

光になる


日一日

大切な

とても大切だった日が

一日

一日

なんでもない日に

変わっていく

そうして364日

すべての特別な日が

48時間づつかけて

なんでもない日に

戻っていく

永久に変わらない

一日を除いて

痕跡

君のいなくなった部屋を
昨日やっと片付けたんだ
たった半年だったけれど
君の痕跡はあちらこちらに
残っていて
全部片付けるのに
1週間もかかったよ

空になった洋服箪笥には書類を詰めて
スカスカになったクローゼットには
毛布と枕を詰め込んだよ
食器棚は並べ替えて
床だってきれいに磨いたよ

でもね
見つけてしまったんだ
君が使っていた机に
うっすら残るコーヒーの染み

持っているマグカップ全部持ってきて
一つ一つ染みに合わせてみたんだ

たった一つ
染みにぴったり合ったのは
思ったとおりの真っ白いマグカップ

僕はまだ
このまあるい形のコーヒーの染みを
消すことが出来ません



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